外国人へのケアの必要性

(1)東日本大震災の教訓が生きる東北各県等

東日本大震災を契機として、被災地の県や政令市では、災害時の対策が実に積極的に行われてきました。本県は、他県に比べるとかなり立ち遅れることになりました。

例えば仙台市は、町内会単位で在住外国人に参加してもらい避難訓練をしています。また、外国人観光客が被災したときに一時避難所として仙台駅構内を活用するためJR東日本と協定を締結しています。

また、災害発生時には、外国人のため避難所等への多言語情報の提供が不可欠ですが、この役割を果たすのが「災害時多言語支援センター」です。このセンターについて東北地方において設置主体などが明確になっていないのは本県だけになりました。

災害時のシミュレーション

 地震発生の状況とそれに伴う行動チェックポイント
地震発生・強い地震が青森県に近くを震源に発生(想定)
・県内各地で建物倒壊や道路寸断などの被害が発生(想定)
 
ⅱ 避難第1 ステージ・観光地では担当者が日本人や外国人観光客を誘導して一時避難所に誘導
・誘導を受ける場所にいなかった外国人観光客は近くの市役所等に各自で避難
・在住外国人は所定の避難所に避難 ・災害時多言語支援センターから被害の状況、外国人観光客に対する被災地からの脱出等に関する情報提供
→観光客用の一時避難所が決められているか、観光地に避難誘導担当者が決まっているか、外国人を「やさしい日本語」などで一時避難所まで誘導できるか
→外国人観光客が取りあえず避難できる場所を認識できる表示があるか、市役所等に行った後、市役所等は外国人観光客用の一時避難所まで誘導できるか
→予め在住外国人に所定の避難所が知らされているか  
→災害時多言語支援センターが想定どおり運用開始されるか(センター責任者が所定の開設場所まで到達できるか、災害対策本部から情報提供がなされるか、所定の翻訳担当者が翻訳対応できるか、避難所等に情報を送ることができるか、避難所等が提供された多言語情報を外国人に的確に提供できるか)
ⅲ 避難第2 ステージ・一時避難所に集まった外国人観光客をできるだけ早く被災地の外に送り出す作業 ・所定の避難所に避難した在住外国人の身元確認と支援物資の提供 ・災害時多言語支援センターから在住外国人や残留外国観光客人に対する多言語情報提供→災害対策本部等から被災地外に脱出するための情報が提供されているか、避難用のバス等が確保されているか、受入地との連携は十分か
→語学対応者がいるか、所定の在住外国人リストがあるか
→チェックポイント:担当者が災害対策本部からの情報のうち喫緊情報を選別し早期に必要情報を提供できるか、希少言語については他県からの翻訳支援が受けられるか

災害時の多言語支援センターの準備

多言語支援センターの実現に向けて必要な準備作業は次のとおりです。

  • 県災害対策本部と当機構との連携と設置主体の決定
  • センター責任者(複数)と情報整理担当者(複数)の決定
  • 翻訳担当者のリストアップと災害時でも機能する送受信方法の確立 (→翻訳担当者として在住外国人の協力が不可欠)
  • 全国的な翻訳協力ネットワークへの参加
  • センターの発動基準やセンターの活動場所(複数)と準備する機器の準備
  • 避難所での身元確認などのため、市町村も現場で多言語対応ができるよう準備

これまでの取り組み

令和元年度は、弘前大学の研究室と弘前市と連携し、観光地やスポーツ施設で被災した場合の「やさしい日本語」による避難誘導を行う訓練を実施しました。

令和2年度は、県内市町村の国際交流や防災の担当者の担当者をメインに基本研修会を行いました。